【話の肖像画】KYバンザイ!(上)医師・鎌田實(産経新聞)

 ■リーダーは確固たる国家観語れ

 「空気読めよ」って子供たちまでが平気で言う時代。いつから日本はそんな窮屈な国になっちゃったんだろう? 好奇心のカタマリで、面白い人に会うのが大好き、そしてちょっぴりアマノジャクなカマタ先生。元気のない今の日本は「空気に負けている」とおっしゃる。足りないのは「政治家が語る明確な国家ビジョン」だって。ウン、ウンその通り!(喜多由浩)

 −−今の不景気の半分は「空気が作っている」と

 鎌田 2008年秋に「リーマン・ショック」が起きたとき、『いいかげんがいい』という本を書きました。お金への欲望が暴走し、経済が崩壊した結果、大変なことになっちゃったワケでしょ。何事も「『加減』が大事だよ」と言いたかったのです。ところが、日本はその不景気からいまだに立ち直れない。(他国に比べて)傷が浅かったにもかかわらず、です。この理由の半分は「空気」に負けているからじゃないですか。“よどんだ、くらーい空気”に感染しちゃっているんですよ。

 とにかく、このごろの日本人は「空気を読みすぎる」。人の顔色をうかがってばかりいるのです。そうじゃなくて、いろんな人間がさまざまな主張をする、「空気をかき回したり」「空気を変える」ような若者が出てくることが必要。「みんなと一緒じゃないとダメ」なんて悲しいし、つまんない国になってしまいますよ。

 −−若者や子供たちが溌剌(はつらつ)としていないし、おかしな事件も後をたたない

 鎌田 ボクはね、人間には「3つのつながり」が大事だと思う。人と人、体と心、人と自然の3つです。今はその3つともがバラバラ。人間関係はどんどん希薄になるし、心と体のバランスは取れない、自然も破壊されていく…これを総合的につなぎ直す作業が必要なんですよ。家庭、職場、地域のみんなでこの作業をするんです。それが国を再生し、日本人を元気にする。幸いなことに日本は、まだ「土俵を割って」いません。確かに土俵際の厳しい状況だけど、いまならまだギリギリこの国を再生できる。「これからが勝負だ」と思うのです。

 −−日本に合った「ウエットな資本主義」を提唱していますね

 鎌田 日本は貿易立国だから、「国家の上半身」は資本主義国家として、優れた商品をつくり、世界の競争に勝てる“筋力”を持つことが大切。その一方で「下半身」は子育て支援や、医療、教育に温かく、血を通わせて、「分厚い中流」をつくる…。グローバリズムというか“何でも競争”で合理性ばかりを追求する「ドライ」な資本主義は日本人に合っていません。

 それから資本主義で大事なことは“お金を回す”ことです。世界最高といわれる個人貯蓄の10%でも消費に回してくれれば、不況なんて吹っ飛んじゃう。お金持ちは自分のためじゃなくて若者の雇用のために使う…それが経済を活性化させる。その昔、「救国国債」を出したのと同じ発想ですよ。まだまだやれることはあるんじゃないですか。

 −−そうならないのも「空気」? 将来への不安がお金を使わせない

 鎌田 いま、何よりも大事なのはね、日本のリーダーが確固たる国家観を国民に語ることです。「こういう国を5年後につくりたいから、2年間は協力してくれ、がまんしてくれ」というような明確なメッセージです。『友愛』じゃ、何が言いたいのか、さっぱり分かりませんよ。ボクはこの10年間、政治家の「泣きたくなるような」見事な演説を聞いたことがない。自民党でも民主党でも、です。これでは若者は将来に夢を描けません。いまほど、「政治家が語る物語」が必要なときはないと思います。

 −−同感ですね。政治家には高い理想、明確なビジョンを語ってほしい

 鎌田 例えば増税問題です。国の財政状況を見ると、公共投資はどんどん減らしてしまったし、国防費もこれ以上下げられない状況。だったら甘っちょろいことを言ってないで、「税金を上げるしかない」とはっきりと言うべきです。日本の税金の水準はまだまだ他国に比べて低いのですからね。例えば、「2年後に消費税を上げる」と宣言するだけでも“駆け込み需要”で消費は拡大する。こうしたハンドリングがどうにもヘタくそですね。

                   ◇

【プロフィル】鎌田實

 かまた・みのる 医師。昭和23(1948)年、東京都出身。61歳。東京医科歯科大学医学部卒。諏訪中央病院(長野県)で地域と一体となり、患者の心のケアも含めた医療を推進(現在・同病院名誉院長)。チェルノブイリやイラクでの医療支援にも携わる。平成12年、『がんばらない』がベストセラーに。最新作は『空気は 読まない』(集英社)。

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